朝倉の身の安全が、第一だから。
早足になっている朝倉に少しだけ申し訳なく思いながらも、スピードは落とさずに歩き続ける。
数分して、学校の敷地内に入ったのと同時に、俺は朝倉の腕を離し、スピードを緩めた。
「……大丈夫か、朝倉」
「……うんっ! ありがとう、染野くん……」
憔悴しきったような、力ない笑みで朝倉は笑う。
……そんな笑い方すんなよ。
言葉と表情が一致してない。
「……無理すんなよ」
ぶっきらぼうにそう告げて、俺は朝倉の頭に手を乗せる。
今度はなでるのではなく、ぽんと一瞬だけ手を乗せるだけだった。
それなのに、朝倉はぼっと顔に熱を灯す。
それにまた、可愛いと思った。
下駄箱で靴をはきかえてから、教室へと向かう。
それまでの間も、視線を感じたり、俺たちの名前をささやかれることが多かった。

