無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる



俺にされるがままになっている朝倉は、恥ずかしそうに目をつむりながら、こくこくとうなずいている。




「あー、本当、かわいすぎてたまんない……」




無意識につぶやいた俺の言葉は、電車の到着を知らせるアナウンスにかきけされた。



そのアナウンスではっと我に返る。



思わず、朝倉の頭に乗せた手をひっこめた。



……俺今、何してた……?



あぶな、ちょっとだけ理性を失いかけてた……。



朝倉の驚いたような、でも少しだけ名残惜しそうな表情に、心臓が高鳴る。



あー、もう、そんな表情するなって……。



ただ意味も分からないほど速い鼓動が、その意味を示唆していることに。



やっぱり俺は気づくことができない。



音を立てて電車が到着する。



いつもどおり、その電車は満員だった。



朝倉に誰かが声をかけてこないように、朝倉をドアの近くに押しやって、俺は朝倉を包み込むように朝倉のそばに手をつける。