無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる



〝あれから〟って、いつのこと……?




「だから、もうちょっとだけ……。

俺ともいてほしい……っ」


「……っ、染野、くん」




……どうして、そんな表情をするの。



染野くんの表情は、見たことがないくらい悲痛に歪んでいた。



胸がぎゅっとしまる。



あぁ、ねぇ、そんな表情をしないで。




「……私だって」




小さく息をする。




「染野くんと、もうちょっと一緒にいたいよ……っ」




心臓が、ばくばくと脈打っていた。



両手をぎゅっとにぎりしめる。



だけど、目だけはそらさなかった。



なんとなく、そらしてはいけない気がしたから。



今の言葉は、ちゃんと本心だよ。



好きな人に近づきたいと思うことは、自然でしょう。



染野くんのさっきの言葉が、私にとってどれだけ嬉しいものだったか。



ちゃんと、伝わってくれるかな。