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それから歩いて十五分。
私は家までたどりついた。
帰ってきたら染野くんが、いるんだよね……?
そのことに、心臓が音を立てている。
この一週間、染野くんがいるときに帰ってきたことがない。
私が、染野くんを出迎える立場だった。
それが今回は逆なんだよなぁ……。
それに少し違和感を感じながらも、私は鍵を開けて、玄関の戸を引いた。
「た、ただいま……っ!」
私がその言葉を口にすると、階段を勢いよくくだる音が聞こえてきた。
えっ、な、なに……っ⁉
驚いて立ち尽くしていると、階段からは染野くんが現れて。
「朝倉……っ⁉」
と、私の名前を呼んだ。
よほど急いで階段を下っていたのか、少しだけ息が切れている。
「染野、くん……?」
何をそんなに、慌てているの……?
おそるおそる彼の名前を呼びながら、私は靴をぬいで家へ上がる。

