颯太先輩は琥珀くんのことを名前で呼んでいたし、二人とも親しげに話していたから。
知り合いなのかなって、ずっと気になっていたんだ。
私の言葉に、琥珀くんは「あぁ」と小さくつぶやいた。
「そうです。部活が同じで……。
普段は俺、先輩のこと慕ってるんですけど、さっきは無理でした……」
「そうなんだ、部活が同じなんだね……っ!」
なるほど……。
だから二人は知り合いなのか……。
二人が親しげに話していた理由が分かって、少しだけ満足した。
琥珀くんの言葉の後半部分は、ちょっとだけ分からなかったけど……。
さっきは慕えなかったって、どういうことなんだろう……っ?
「玲奈さん。
俺、家こっちなんですけど、玲奈さんは?」
交差点にさしかかると、琥珀くんが右側を指さして言った。
今の琥珀くんの家はそっち側なんだね……っ。

