琥珀くんの手に握られているスプーンをつかもうとする。
だけど、琥珀くんは小さく首を横に振った。
「食べさせてあげるって意味です。
はい、あーん」
「……っ⁉」
顔が急激に熱を持ち始める。
あっ、あーん、なんて恥ずかしすぎるよ……っ。
静まったはずの心臓が、また激しく鼓動を打つ。
「ちょっ、ちょっと待って、琥珀くん……っ」
「……どうしたんですか?」
「わ、私、自分で食べられる、から……」
やっとの思いで自分の意思を伝えたけれど、琥珀くんはやっぱり首を横に振った。
「ダメです、玲奈さん。
いいから、口開けてください」
「……っ」
声にならない叫び声を心の中であげた。
……っ、これは琥珀くんの言うとおりに、口を開けなきゃいけない、かな……っ。
琥珀くんが一歩引いてくれる気配は一向にない。

