思わず、自分の頭を抱える。
しかも、朝倉のことは実際あまり好きではない。
気がない相手にこんなことをやるっていう時点でダメだ。
俺の中では、朝倉は嫌いな人になる……んだよな?
え……、なんで。
昨日までは、あんなに胸を張って「嫌いだ」って言えていたのに。
言っていたのに。
どうして今、俺は朝倉のことを嫌いだと思えないんだろう。
好きではない、とは思えるのに、嫌いだとは思えない。
なぜだか、俺は今無意識に、朝倉を嫌いだと思うことを疑った。
……拒んだんだ。
朝倉というと、どうしても中学生の頃の姿が想起されてしまう。
クラスの輪の中心にいて、明るくて、だれからも人気があって。
そんな朝倉のどこを……嫌いになってしまったのだろう。

