無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる



あっ、おい……!




思わず、横になっていた体を起こす。




「待て……っ!」




まだ弁解ができてない……!!



寝ぼけていてやってしまったのだと、ちゃんと伝えられていない。



わざとだと思われていたら、まずい……っ。



大きな声で呼び止めたけれど、朝倉は止まることなく階段を走って下りて行ってしまった。




「……っ、はぁ……」




なにやってんだろ、俺。



今起きたできごとに、呆然としてしまう。



寝ぼけているからと言って、女子を無意識に抱きしめるのは、さすがにアウトだろ……。



ひさしぶりに、〝あの夢〟を見てしまったからと言って……。