気まぐれヤンキーくんのあまのじゃくな溺愛。

昼休み。
いつものように萌恵ちゃんの席へお弁当を持ち寄って食べる。

「はぁ〜…やっと昼休みだぁ!」
と久々にいつもより大きい声を出した私に萌恵ちゃんは頭にはてなマークを浮かべる。

「?どうしたの?そんな疲れた顔して」
「いや実は色々あって…」
「その“色々”って何よ?」

興味津々な萌恵ちゃんに思わず顔を引きつらせて、笑顔で誤魔化そうとする。
言えない。
学校でNo.2に立つ鳳君を敵に回して目をつけられているかもなんて言えるわけがない‼︎

「な、何でもない!ただ少し寝不足で疲れが取り切れてなくて」
「ふぅん、そう。陽羽って真面目すぎるところあるもんね。
それ良いとことでもあるけど、たまにはちゃんと休憩しなね。切羽詰まって倒れたら元もこうもないんだから」
「うん。ありがとう、萌恵ちゃん」

人は人をよく見てる、と言うけど、本当なんだな〜と萌恵ちゃんの言葉が強く胸の奥に染みた気がした。
そうほんわか心温まる空気が流れていた時、とんでもない事実に気がついた。

「って、水筒ない!」

ガタッと椅子から立って思い違いじゃないか目を凝らしながら机の周りをキョロキョロと確認する。
やっぱり、ない!
朝からバタバタだったからきっと家に忘れてきたんだ!

「え、陽羽今更気づいたの?」

萌恵ちゃんは、まるで最初から分かってたかのように私に呆れながらお弁当を黙々と食べていく。

「自販機早く行って来な。昼休み終わっちゃうよ」
「うぅ…行ってくる…」
「おけ。行ってらっしゃい。何かあったらあたしに電話するんだよ。絶対だからね」
「うん、ありがとう!」