「みおりぃ!」
「みおり!?」
「みおりぃ〜!!!!」
顔を上げなくてもわかる高くかわいい声。仲田葉月だ。いつの間にか授業は終わっていたらしい。もう。葉月も私のことなんかほっといてくれればいいのに。
どう見ても一軍なこの子がなぜこんなに私にくっついてくるのかよくわからない。
とはいえ、私はこの子がくっついてこなければ丸一日声を出さないので、喉の運動になるし、もう慣れたことでもある。
葉月のことも嫌いなわけではない。
渋々顔を上げると、今日も整った顔と、くるくると綺麗に巻かれた髪の女の子。瞳も大きく誰が見ても漫画の主人公のような容姿だというだろう。
私と違ってなぜこの子はこんなに恵まれているのだろう。


