「恐らく、妹がお前に執着した理由はーーーー。」 俺の口から語る物語。 それが莉茉を少しでも悲しませ、苦しませるような事実ならば。 事実に蓋をして、俺は全てを覆い隠し、何も語る事はなかっただろう。 この胸の内に仕舞って。 だが、それが出来なかったのは。 『真実を知る事が出来るなら、目を逸らして逃げないで、立ち向かうのが、本当の強さでしょう?』 揺るぎない眼差しを、莉茉が俺へと向けたから。 目を逸らす事も。 嘘も、誤魔化しさえ。 きっと、逃げる事も許されない。 強い、真っ直ぐな眼差しを。