「………………ねぇ、茉莉ちゃんなのかしら?」 怖いくらい、真剣な顔。 広角は上がっているのに、瞳が全く笑っていないお母さんに、私は首を横に振っていた。 ………………本能的に。 「………っっ、ううん、莉茉じゃないの?」 その時。 私は、大きな嘘を付いた。 生涯、消えぬ罪を背負って。 分かって、いたの。 お母さんの、その狂気の矛先が全部、私ではない、誰に向かうかって事は。 ………………分かっていたのに。