「…どうだ?」
今にも、息が止まって悶え始めるのではないかと警戒しながら。
固唾を飲んで見守っている俺とリーヴァ。
しかし、そんな俺達をよそに、オルタンスは普通にもぐもぐとチョコレートを食らっていた。
「別に…何の変哲もないチョコレートだぞ」
「…本当に?」
嘘に決まってる。絶対何かある。
だって、送り主はあのルレイア・ティシェリーなのだから。
奴のオルタンスへの憎しみは、並大抵のものではなかった。
仲良しの印にバレンタインチョコを、なんて甘っちょろいことを考える人間ではない。
それなのに敢えて送ってきたということは、何かを仕込んでいるのだ。
「惚れ薬のようなものが入っているとか…?」
恐る恐る、リーヴァが尋ねた。
「さぁ…。分からんな。俺は元々、ルレイアのことは割と好きだったからな…」
「…」
「…」
こいつの言う「好き」を真に受けるなよ。別に恋愛的な意味ではない。人間として、という意味だ。
そうだというのに冤罪擦り付けた極悪人だからな、オルタンスは。
「身体に…何か不調は?」
「何もない」
「…じゃあ、本当に何も仕込んでないのか…?」
「有り得ん。あのルレイアがオルタンスにまともなチョコを渡すなんて」
もしや…遅効性の毒か何かか?
今は何ともないが、一時間後、数時間後に効き目が出る…とか、
「食べてみるか?」
「はぁっ?」
「何も悪いものは入っていない。安心して食べてくれ」
この世において、こんなに安心出来ない食品があるだろうか。
俺は絶対に遠慮したかったが、しかし。
「…仕方ない。腹を括ろう」
リーヴァが、ルレイアの闇チョコを一つ手に取った。
「おい、馬鹿。やめとけ」
「オルタンス殿だけに傷を負わせる訳にはいかない…。ルシファー殿の件については、我々もほとんど同罪なのだから」
「…」
それを言われちゃ…言い返す言葉がないが。
でも、だからって…。
…。
「…ちっ。これで死んだら、あの世で一発殴り飛ばすからな」
「あぁ」
死なば諸共。毒食らわば皿まで。
食ってやろうじゃないか。俺も。
我ながら馬鹿なことをしているなと思いながら、俺はリーヴァと共にルレイアの闇チョコを手に取った。
…見た目は、普通のチョコレートだが。
これで、晴れてルレイア・ハーレムの男性会員に仲間入り、なんてことになったら…誰か、俺を殺してくれ。
覚悟を決めて、俺とリーヴァは、同時にチョコレートを口に入れた。
一口噛み砕いた瞬間、俺達の世界が炎に包まれた。
今にも、息が止まって悶え始めるのではないかと警戒しながら。
固唾を飲んで見守っている俺とリーヴァ。
しかし、そんな俺達をよそに、オルタンスは普通にもぐもぐとチョコレートを食らっていた。
「別に…何の変哲もないチョコレートだぞ」
「…本当に?」
嘘に決まってる。絶対何かある。
だって、送り主はあのルレイア・ティシェリーなのだから。
奴のオルタンスへの憎しみは、並大抵のものではなかった。
仲良しの印にバレンタインチョコを、なんて甘っちょろいことを考える人間ではない。
それなのに敢えて送ってきたということは、何かを仕込んでいるのだ。
「惚れ薬のようなものが入っているとか…?」
恐る恐る、リーヴァが尋ねた。
「さぁ…。分からんな。俺は元々、ルレイアのことは割と好きだったからな…」
「…」
「…」
こいつの言う「好き」を真に受けるなよ。別に恋愛的な意味ではない。人間として、という意味だ。
そうだというのに冤罪擦り付けた極悪人だからな、オルタンスは。
「身体に…何か不調は?」
「何もない」
「…じゃあ、本当に何も仕込んでないのか…?」
「有り得ん。あのルレイアがオルタンスにまともなチョコを渡すなんて」
もしや…遅効性の毒か何かか?
今は何ともないが、一時間後、数時間後に効き目が出る…とか、
「食べてみるか?」
「はぁっ?」
「何も悪いものは入っていない。安心して食べてくれ」
この世において、こんなに安心出来ない食品があるだろうか。
俺は絶対に遠慮したかったが、しかし。
「…仕方ない。腹を括ろう」
リーヴァが、ルレイアの闇チョコを一つ手に取った。
「おい、馬鹿。やめとけ」
「オルタンス殿だけに傷を負わせる訳にはいかない…。ルシファー殿の件については、我々もほとんど同罪なのだから」
「…」
それを言われちゃ…言い返す言葉がないが。
でも、だからって…。
…。
「…ちっ。これで死んだら、あの世で一発殴り飛ばすからな」
「あぁ」
死なば諸共。毒食らわば皿まで。
食ってやろうじゃないか。俺も。
我ながら馬鹿なことをしているなと思いながら、俺はリーヴァと共にルレイアの闇チョコを手に取った。
…見た目は、普通のチョコレートだが。
これで、晴れてルレイア・ハーレムの男性会員に仲間入り、なんてことになったら…誰か、俺を殺してくれ。
覚悟を決めて、俺とリーヴァは、同時にチョコレートを口に入れた。
一口噛み砕いた瞬間、俺達の世界が炎に包まれた。


