「…ユーシャ、一体何処行っちゃったのかしらね」

ミューリアは、心配そうな顔でそう言った。

よく言えたもんだな。お前、友達でも何でもなかった癖に。

いなくなった途端に仲良しだった振りか。

「家にも帰ってないらしいじゃん?なんか怖いよな」

「事情聴取なんて初めてされたよ。めっちゃ緊張した。ルナニアもそうでしょ?」

「えぇ、死ぬほどびびりましたよ。特に俺は、三回くらい聞かれましたし…」

ユーシャ・ルフス・アイヒベルガーが行方不明になってから、一週間。

ランドエルス騎士官学校では、突如として行方不明になった女子生徒の噂で持ちきりだった。

ユーシャは学校にも来ず、家にも帰っていない。行方も消息も分からない。

ランドエルスの学生達は、誘拐か、とか神隠しか、なんて好き勝手な噂をしていた。

そして、ユーシャと同じクラスだった俺達は、少なくとも皆一回ずつは警察から事情聴取を受けた。

特に、ユーシャと最後に会って話したと確認されている俺は、綿密な事情聴取をされた。

色んなことを詳細に聞かれたが、勿論、俺は正直になんて答えなかった。

大体、俺はユーシャの行方を知っている。

彼女は今頃、土の下だ。

何せ、俺が殺したのだから。

いやはや痛快だった。復讐ってのはあれだな。何回やっても楽しいもんだ。

ユーシャ殺害の件は、アイズレンシアに頼んで綺麗に隠蔽してもらったので、俺の関与がばれることはない。

こうして、素知らぬ風で涼しい顔をしていれば良いだけだ。

カセイは俺の犯行を知っているが、彼女が喋るはずがないし。

それに、今はこうして噂になっているが、もうしばらくもすれば、ユーシャのことなど皆忘れてしまう。

そうすれば、ユーシャは始めからいなかったことになる。

そんなものだ。人間なんてのはな。