こちらから撃つべきか、それとも、向こうが撃つのが先か。
どちらにしても、この距離ならお互いに外すことはない。
向こうが先に撃ったとしても、撃たれて一秒くらいは意識があるだろう。
そして一秒もあれば、引き金を引くには充分だ。
あとは、私が殺しきれるか、という問題だが。
これは甚だ疑問だな。私は拳銃については、さらっと習ったくらいで素人も同然。
その手のプロであるこの女幹部には到底及ばない。
向こうは確実に私を殺すだろうが、私はこの人を傷つけることは出来ても、殺すことは出来ないかもしれない。
まぁ、そのときはそのとき。
いずれにしても、簡単に殺されるつもりはなかった。
人間、拳銃で腹を撃たれてから絶命するまでに、何が出来るのか分からないけど。
物は試しという奴だ。
「…どうせ撃つなら、私が先に撃ちましょうか」
「…愚か者め」
呟くなり、女幹部は引き金に指をかけた。
あ、撃たれるな。そう思った瞬間だった。
「素晴らしいわね。アイズ。あなたは本当に良い子だわ」
鈴を転がしたような心地良い声が、室内に響いた。
「…!?」
振り向くと、そこにはアシュトーリアさんの姿があった。
…この人、いつの間に。
と言うか、いつから?
「アシュトーリア様…!?これは…」
「ごめんなさいね、メリー。あなたが来ることは分かってたの。アイズを懐柔しようとすることもね」
この女幹部、メリーって名前だったのか。知らなかった。
そして私は、全てを理解した。
これは…つまり私は、不穏分子を炙り出す為の餌ってことか。
「全て聞かせてもらったわ」
「…」
言い訳など、出来る状況ではなかった。
問答無用。現行犯逮捕である。
女幹部、ことメリーも、自分の運命を理解したようだった。
「悪いわね。でも私も…そう簡単に引き摺り下ろされる訳にはいかないの」
「…あなたの統治する『青薔薇連合会』の行く末は、地獄でしかない」
「大丈夫よ。きっとそうはならない。ここにいるのは、私だけではないもの。その子や、これからここに来る未来ある子供達が、きっと『青薔薇連合会』を導いてくれるわ」
そのときの、アシュトーリアさんの言葉は。
まるで今の未来を、そのまま映し出したかのようであった。
どちらにしても、この距離ならお互いに外すことはない。
向こうが先に撃ったとしても、撃たれて一秒くらいは意識があるだろう。
そして一秒もあれば、引き金を引くには充分だ。
あとは、私が殺しきれるか、という問題だが。
これは甚だ疑問だな。私は拳銃については、さらっと習ったくらいで素人も同然。
その手のプロであるこの女幹部には到底及ばない。
向こうは確実に私を殺すだろうが、私はこの人を傷つけることは出来ても、殺すことは出来ないかもしれない。
まぁ、そのときはそのとき。
いずれにしても、簡単に殺されるつもりはなかった。
人間、拳銃で腹を撃たれてから絶命するまでに、何が出来るのか分からないけど。
物は試しという奴だ。
「…どうせ撃つなら、私が先に撃ちましょうか」
「…愚か者め」
呟くなり、女幹部は引き金に指をかけた。
あ、撃たれるな。そう思った瞬間だった。
「素晴らしいわね。アイズ。あなたは本当に良い子だわ」
鈴を転がしたような心地良い声が、室内に響いた。
「…!?」
振り向くと、そこにはアシュトーリアさんの姿があった。
…この人、いつの間に。
と言うか、いつから?
「アシュトーリア様…!?これは…」
「ごめんなさいね、メリー。あなたが来ることは分かってたの。アイズを懐柔しようとすることもね」
この女幹部、メリーって名前だったのか。知らなかった。
そして私は、全てを理解した。
これは…つまり私は、不穏分子を炙り出す為の餌ってことか。
「全て聞かせてもらったわ」
「…」
言い訳など、出来る状況ではなかった。
問答無用。現行犯逮捕である。
女幹部、ことメリーも、自分の運命を理解したようだった。
「悪いわね。でも私も…そう簡単に引き摺り下ろされる訳にはいかないの」
「…あなたの統治する『青薔薇連合会』の行く末は、地獄でしかない」
「大丈夫よ。きっとそうはならない。ここにいるのは、私だけではないもの。その子や、これからここに来る未来ある子供達が、きっと『青薔薇連合会』を導いてくれるわ」
そのときの、アシュトーリアさんの言葉は。
まるで今の未来を、そのまま映し出したかのようであった。


