コンネリシャス王国の 恋物語

シルバーは一つ下の学年で運動は好きではないのだが、家柄と頭脳明晰を買われて将来の従者候補となっている。

ただ、ジュオン王子はシルバーの姉アンネが苦手で、シルバーが優秀なことは分かってはいるがボレオ家とは距離を置いている。

三つの騎士団の総長を務めるギランの父親は信頼ができるし尊敬のできる人物で、国王の学友で親友でもある。

ギラン家やルルのベッテイーネ家とは幼いころから交流がありジュオン王子にとっても大切な人達なのだ。

その週の土曜日、ルルは朝から張り切ってスイーツ作りに勤しんでいた。

テイータイムに王宮にイリスを訪問する予定だからだ。

今日は王子の好物のチーズケーキに、いつものチーズではなくマスカルポーネを使ってみた。

なかなか手に入らないのだが昨日市場の叔父さんに入荷したからと連絡を受けて飛んでいったのだ。

ホールで作って八つに切りに分けさっき味見したら、いつものチーズケーキよりコクがあって何とも言えず美味しく仕上がっていた。

これはジュオン王子が大喜びするだろう。

祖母と母の分を残して、残りを５カット持っていくことにした。

他に今日は初めてシュークリームを作ってみた。

前世でよく作っていたのだが、この国にはないものなので名前もシュークリームでは説明できず悩んでいたのだが、パイの皮を焼いて
いて思いついた事にして名前は変わりパイのクリームという意味の”プロシットパイクリーム”と命名した。

ちょっと長いが祖母に相談したらいいんじゃない楽しい名前だと言ってくれた。

家族には試食済で評判はすこぶる良かった。

まだ、スワン型には挑戦していないがその内にやってみようと思っている。

他にも焼き菓子をいろいろ趣向を変えて用意した。

兄の近衛騎士団にも差し入れしようと思っているので朝早くから起きてたくさん作ったのだ。

コンネリシェス王国の宮殿は小高い丘の上にありその裏側は深い峡谷に面していて宮殿の領地の両サイドに高い塀がお城を守るように囲んでいる。

上部は人が二人ぐらい歩けるほどの幅があるので城壁もその厚みがあると言う事だ。

門は馬車が二台並んで悠々通れるほど広いその門には鉄の扉がありそれは夜なると占められて朝早くに開けられる。

門の側には近衛騎士の詰め所があって出入りする人や荷馬車の確認を行っている。