「兄貴。」 莉茉との先の未来を思い浮かべていた俺を、朔の声が引き戻す。 「酒が無くなってるよ?」 「…あぁ。」 視線を落とせば、空っぽになったコップ。 「ほら、注いであげる。」 ビール瓶を片手に、俺に近寄る朔が隣に座る。 「悪いな、朔。」 コップを差し出す俺に、苦笑いを浮かべ朔が酒をゆっくりと継ぎ足す。 「兄貴、ずっと見すぎだよ。」 「見すぎ?」 「そう、莉茉さんの事。」 にやりと意地悪く笑う朔を半目で見つめた。