寵愛の姫 Ⅲ【完】



「莉茉、大丈夫だ。ちゃんと俺がいる。」



「………、うん。」




真っ直ぐに私の顔を覗き込む暁に頷いて、ゆっくりと室内に震える足を踏み入れる。





歩く間も集まる視線。



行きぐるしさが半端ない。



それでも、どうにか辿り着いたお父さんの前。



「やぁ、莉茉さん。良く来たね。」




穏やかなお父さんに、ほっとしてしまった。




やっぱり、組員さん達の反応がまだ怖いけど。



そこは追々、慣れていきたいと思う。