寵愛の姫 Ⅲ【完】



「さぁ、行きましょう。」



楽しそうなお母さんに手を引かれたまま、私は歩き出す。





他愛ない話をする私達の横で、暁が終始不機嫌だったのは、言うまでもない。




しばらくすれば、立派な襖が見えてくる。



「莉茉ちゃん、ここが大広間よ。」



お母さんが微笑みながら、立派な襖を開けた。


「っっ、」



中の光景に、私の顔が強張る。





広いその場所に、ずらりと厳つい顔をした組員さん達が勢揃いしていた。





…………この中を歩くの?