寵愛の姫 Ⅲ【完】



「………………っ、茉莉…。」



霞む意識の中で、私が手を差し伸べれば、茉莉が息を飲む気配だけがする。



「………っっ、な、んで…。」

「………?」



震える茉莉の声に、私が頑張って焦点を合わせれば、自分の手に、温もりを感じた。



「………あんた、本当に、馬鹿、だよ…。」

「………うっ、茉莉?」



何で。



悔いているような。





怯えているような、そんな表情をしているの?






………分からない。




何1つとして、私には。




「………………っ、莉茉っ!」



暁の悲痛な声を最後に、ぷつりと、私の全ての意識が途切れた。