寵愛の姫 Ⅲ【完】



「………………茉莉…?」



ここまで崩れきった彼女の姿を、今まで私は見た事があっただろうか?






いつも、凛として。





誰からも愛されていた茉莉が、私の為に、こんな風に泣くなんて。



「………、な、んで、泣いてるの?」

「っっ、」



茉莉が、顔を歪ませる。







ーーーーなぜ?





私を傷付けたのは、自分なのに、その本人の茉莉が泣くなんて、変なの。






………………ねぇ、その涙の訳は、何ですか?



「っっ、」



………駄、目だ。




目が霞んで、もう、良く見えないよ…。