「っっ、あっ…。」 血に濡れたナイフを手に、唇を噛み締めてその場に佇む茉莉の姿があって。 「っ、い、たい…?」 どう、して? 恐る恐る痛む腰に触れれば、自分の手がべっとりと血に染まる。 「………、血?」 それで、理解した。 ………………あぁ、刺されたのか。 血に染まった自分の手から、私の側に佇む茉莉へと視線を向ける。 「………茉莉…?」 「っっ、」 その瞬間。 唇を噛み締めた茉莉の目から、ぽろりと一粒、涙か零れ落ちるのを、どこか冷静に見ている私がいた。