寵愛の姫 Ⅲ【完】



「………。」



困惑顔で、ケバい女達がすがるような眼差しで近付いて来るのを、俺は無感動に見つめる。



「………、ねぇ、朔くん?」


「…何?」


「何って…。」



困ったように、目の前の女が、眉をひそめた。



「ーーー何だか、朔くんの様子がいつもと違うから、私、心配で。」




ねぇ、と自分の取り巻きに同意を求める馬鹿な女に、俺は失笑を漏らす。





………………心配?






ふっ、笑える。



「あのさ?」




低くなる、自分の声。





きっと、女達に向けている俺の顔も、酷く冷たくなっている事だろう。