寵愛の姫 Ⅲ【完】




「………あの、駄目かな?」



暁の機嫌を窺う。





あの目は、本気だった。






私の身体がぞわりと粟立つぐらい、冷たく、男の子達に向けられた殺気。







どうにかして暁を連れ出さなくちゃ、教室内が血の海になっちゃう予感がする。




「暁と文化祭を回るの、私、楽しみにしてたんだよ?」




これは、本心。





その為に、嫌な接客も頑張った。




「ねぇ、良いでしょう?」



引きつる笑みを浮かべる。




そんな私を、無言の暁が、じっと見下ろした。