寵愛の姫 Ⅲ【完】



「………、劇はないよ。」

「だよね…。」



神無と頷き合う。






………………良かった、私だけじゃなくて。



「うーん。」


神無がじっと、黒板に書かれた案を凝視する。






その顔は、真剣そのもの。



「この中で無難なのは、喫茶店かな。」



ぽつりと、神無か呟く。


「………喫茶店。」


なるほど。



確かに、この案の中から選ぶんだったら、喫茶店が無難かも知れない。





神無の呟きに頷きながら、ずらりと出し物が書かれた黒板を、私はぼんやりと眺めていた。