寵愛の姫 Ⅲ【完】




「………………莉茉…。」


「っっ、」



久しぶりに会ったお父さんに名前を呼ばれて、なぜだか、目頭が熱くなる。







………どうして?





何で、こんなにも、私はとても泣きたい気持ちになるんだろう。





その訳は、何?



「っ、お、父さん…。」



目の前が滲む。






………あぁ、そっか…。




すとんと、理解したのは、たった1つの事。








何度、裏切られても。



突き放されたとしたって。




差し伸べた手を拒絶されても、目の前に座るこの人は、私のお父さんに違いないんだ。






………痛感させられた。




痛いほどに。







ーーーーだから、“不通”に自分の名前を呼ばれて、私は嬉かったんだね?