寵愛の姫 Ⅲ【完】



「………………茉莉。」



ぽつりと、その名前を呟く。








私の可愛くて。





ーーーー大っ嫌いな片割れの妹。








何度、



私も、皆の家族の一員になりたいと、心の底から望んだだろうか。







期待する、その度に、裏切られ、絶望の淵に突き落とされて、痛感するんだ。






………………私は一生、彼等とは、本当の家族になれないんだって。



「………………、莉茉、大丈夫か?」




そっと、暁に手を握られる。






視線を向ければ、綺麗な漆黒の瞳が、私をじっと見下ろしていた。