寵愛の姫 Ⅲ【完】


「………、暁、何だかぴりひりしてる?」



何かを堪えるような。




自分の中に、その感情を押さえ込んでいる気がする。






………まぁ、勘なんだけどね。



「何か、仕事でトラブルでもあった?」


「………いや、仕事は大丈夫だ。」



ふっと、笑みを浮かべた暁が、私の手を引く。





軽々と抱き上げられて、手慣れた様子で自分の膝に座らせられるのは、いつもの事。