寵愛の姫 Ⅲ【完】




「………、そう、そうね。」


「………。」


「私達、家族だものね?」



ふふ、と笑うお母さん。



「きっと、お父さんも許してくれるわ。」



青ざめていたお母さんの顔に、朱色が戻るのを、私は、笑って見守る。






………単純ね。





欲しいだろう言葉を、優しく囁いてあげれば、直ぐに信じるんだから。



「ふふ、大丈夫よ、お母さん。」



にっこりと、微笑む。







ーーーーお父さんに許して貰えると良いね、お母さん?







まぁ、多分、無理だろうけどね。





本当、ころっと簡単に騙される、馬鹿な女。





私の冷めた心情も。




心に巣くう、闇にさえ、気付かないんだから。