「………………………はぁ。」 深々と、疲れの溜め息を吐き出した私は、今度こそ部屋から出る。 ーーーー最後まで、男の視線が背中に突き刺さったまま。 「っ、茉莉ちゃん…。」 遅れた私を待っていたのは、声を震わせ、顔を真っ青にした母親で。 どうやら、お父さんに追いていかれたらしい。 その姿は、見当たらなかった。 「………、」 そんな滑稽な母親の姿に、一瞬だけ顔をしかめそうになったけれど。 どうにか堪えた自分を、盛大に誉めて欲しいわ。 えぇ、心から、本気で。