寵愛の姫 Ⅲ【完】



「………………もう、帰って良いかしら?」




さっさと帰りたい。






煩わしんだもの。



人を探るような目で見てくる、目の前の男が。






鬱陶しくて、堪らない。





ーーーーーとても、嫌いだわ。



「……………あぁ、十分だ。」




嫌悪感を滲ませた私に、ゆるりと目の前の男の口角が、楽しげに持ち上がる。




そして、獲物を見つけたような瞳で、くつりと笑った。



「っっ、」



っ、な、何?




ぞわりと、私の背中が粟立ったのは、一瞬で。