寵愛の姫 Ⅲ【完】





「水瀬さん家族を、丁寧に会社の外までお見送りしろ。」



高崎暁の、その一言で、この場はお開きに。







ーーーーーはぁ、やっと帰れる。





そう、思っていたのに。



「ちょっと、待って。」



両親に続いて、その背中を追い、部屋を出ようとした私の腕が引かれ、ひき止められる。



「………………何ですか?」



憮然と私の腕を掴む人を見上げれば、高崎暁の側近の男だった。





確か、森若大雅、だったかしら?





高崎暁の一番の側近の彼が、その目を細めて、私を見下ろした。