寵愛の姫 Ⅲ【完】




「お前も同席しろ。」


「はっ、分かりました。」



がらりと表情を変えた大雅を横目に、俺達は先に社長室の下にある、第2会議室へと向かう。



「………………それにしても。」



直ぐに着いた第2会議室。




その扉をゆっくりと締めた大雅の口が、ゆるりと笑みの形を作る。





だが、その瞳は冷たかった。



「他社の会社に、自分の妻子を連れて来るとは…。」



くつりと笑った大雅は、やれやれと言わんばかりの芝居がかった仕草で肩をすくませる。