寵愛の姫 Ⅲ【完】



「………………一樹、どうした?」


「実は、下に社長にお目通りを願っているお客様がいらしています。」



俺の眉間に皺が寄る。



「…客?」


「はい、お客様です。」



やたらと“お客様”を強調する一樹。




今日の俺のスケジュールには、誰からの面会予定はなかったはず。




………………だとすれば。



「………一樹、来客の名前は?」



俺が思い当たった人物に、間違いはないだろう。