寵愛の姫 Ⅲ【完】




「社長、失礼します。」



ノックの後に、一樹が部屋の中へ入って来る。


「………。」



ちらりと、書類を持つ大雅を一瞥した一樹は、大きな溜め息を吐き出した。



「………………貴方は、また社長に馬鹿な事をやらかしたんですか?」


「………うるせぇ。」



図星を指され、そっぽを向く大雅に呆れた表情を浮かべ、もう一度、一樹は溜め息を吐き出す。



「ーーーー社長。」



そのまま、一樹は俺へと、視線を滑らせた。