寵愛の姫 Ⅲ【完】



「………。」



「………。」



無言の攻防の末。




ーーーー折れたのは、大雅。



「………………はい、やらせて頂きます。」




がっくりと肩を落とした大雅は、俺の差し出した書類を素直に受け取った。





よしっ。


このままいけば、予定より早く帰れるな。



「………うぅ、有能な自分が恨めしい。」



「馬鹿な事を言ってねぇで、お前は早く渡された仕事をして、さっさと終わらせろ。」



ぶつぶつと呟く大雅に鼻で笑った俺が、違う書類を手に取り、視線を落とそうとした。




………………その瞬間。