寵愛の姫 Ⅲ【完】




「っ、う、そ…。」



呆然と呟く。




目の前で輝くのは、間違いなく、指輪だった。





固まる私の頬に、するりと手を滑らせた暁は、その口角を上げる。



「あぁ、婚約指輪だな。」



いまだに固まる私に満足そうに笑った暁は、指輪を付けた左手の薬指に口付けた。





………………何かを誓うかのように。



「っっ、ありがとう、暁。」



暁のその口付けに、私の頬が朱に染まるのは、仕方がない事で。



「莉茉、外すなよ?」



そんな私に、暁は意地悪く笑った。