寵愛の姫 Ⅲ【完】




………きっと…。




莉茉は、悲しい過去を抱えてる。






私が理解出来ないような、暗くて。




………………深い闇を。



「………じゃあ、」



「うん?」



「莉茉の光は、朔くんのお兄さんだね?」



ことさら明るく、声のトーンを上げる。





次の瞬間。



不思議そうに目線を上げた莉茉の顔に、満面の笑みが広がった。




きらきらと、瞳を輝かせて。