寵愛の姫 Ⅲ【完】



「だから、ああして朔くんは仮面を被るの。」



あそこは、沢山の“闇”が集まる場所。




朔が育った、特殊な環境。



「朔くんが実家の裏の事業を継ぐ事は、絶対にないけれどさ。」



朔くん本人も、高崎の裏を継ぐ気は、全くないんだって言っていた。




覚悟も。



その、度量も自分にはないのだと。




朔くんは、笑ってた。



「あぁ、暁がいるもんね。」



納得とばかりに、莉茉が頷く。