『莉茉、強くなれ。』 うん、暁。 負けない。 ぐっと顔をあげ、前を見据える。 この場の雰囲気に飲み込まれて、暁へのこの気持ちを見失いたくはないから。 負けたくない。 真っ直ぐ前を向き、私は自分の席へと歩き出す。 「………………ふぅ。」 かたりと、小さく音をたてて椅子に座った時には、思わず安堵の息が零れ落ちる。 ………疲れた。 始業式が始まる前に、すでに自分の体力を使いきった気がするよ。