寵愛の姫 Ⅲ【完】




『莉茉、強くなれ。』



うん、暁。



負けない。



ぐっと顔をあげ、前を見据える。






この場の雰囲気に飲み込まれて、暁へのこの気持ちを見失いたくはないから。



負けたくない。




真っ直ぐ前を向き、私は自分の席へと歩き出す。



「………………ふぅ。」



かたりと、小さく音をたてて椅子に座った時には、思わず安堵の息が零れ落ちる。




………疲れた。




始業式が始まる前に、すでに自分の体力を使いきった気がするよ。