寵愛の姫 Ⅲ【完】




俺にとって、



好きも。


嫌いの気持ちもない。





あるのは、無の感情だけ。



「違いねぇな。」



俺の気持ちなど知らず、同感とばかりに天野先輩は、溜め息混じりに頷いた。




それを無感動に見つめる。



「まぁ、安心しろよ、朔。」



「………安心?」



「俺は、莉茉の今の幸せを壊す気はねぇ。」



………………………本気か?