「莉茉さん、凄く可愛い子だったね?」 先に車から降りた朔くんのお兄さんが振り返り、優しい顔で中へと差し伸べられた手。 それだけで、大事な存在なんだと分かる眼差し。 ゆっくりと、その手にほっそりとした指先が重なる。 車から現れたのは、遠目から見た私からでも、華奢で儚げな少女だった。 「朔くんのお兄さんが好きになるのも、頷けるよ。」 「まぁ、そうだけど……。」