「あぁ、よく来たね。」 ドアを、開けた暁を視界に入れたその人は、温厚そうな顔を破顔させて椅子から立ち上がった。 「高崎くん、久しぶりだね。」 「えぇ、ご無沙汰しておりました。」 「いやはや、元気そうでなりよりだ。」 満足そうに頷いたその人は、ゆっくりとこちらに近付く途中で、私に視線を向ける。 「君が、水瀬さんかな?」 「……はい、水瀬莉茉です。」 「そうですか。水瀬さん、私が理事長の牧田(まきた)です。」 一礼した私に、牧田理事長は応接用の椅子に座るよう、手で促した。