狂気のお姫様

「なんであんたがいんのよ!!!」

「そう言われても〜」

「あたしたちを騙したわけ!?」

「なんのことー?」


すごい形相の女2人に詰め寄られているという今の状況。多々あるこの状況。

はい、そうですね。呼び出しました。


「如月さんだと思ったのに…!」


そして使いました。使いましたとも。

うん、陽ちゃんの名前を。


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〇〇さん

いきなり手紙で悪いけど、
実は頼みたいことがあるから、
今日の放課後準備室に
来てくれないか。
他の人には内緒で…、ただ、
いつも一緒にいる〇〇さんにも
お願いしたいんだけど。

如月
──────────────


超絶適当に書いた、というのが本音。
自分で読み返してみてドン引きしたもん。私って手紙の才能ないなと実感した瞬間だった。

だって怪しすぎる。いきなりなんの頼み事だよ、って感じだし、まず陽ちゃんが学年も違うこの2人の名前を知ってるわけない。そしてこの2人がいつも一緒にいる、なんてもっと知ってるわけない。

そもそも手紙なんて原始的すぎるし、天から手紙が来るわけないだろ。

普通に考えてみればおかしいのだが…、まぁこいつらはバカだと思っていたので疑いもなく騙されてくれたのだ。うん、やはりバカだ。



「ふざけんな!!!」

「何もふざけてないよー?」


少々おどけて返すも、目の前で顔を赤くさせている2人の怒りはおさまらないご様子。

正直『ふざけんな』は私の言葉だと思うんだがな。

ていうか私がお前らを呼び出した時点であのことだと思わないのか。色恋沙汰か自分のことしか考えてないのかは分からないが、頭が悪いのは確かだ。チンパンジー以下。


カチリ、と2人に見えないように教室の扉の鍵を閉める。

ここは準備室なので、机や椅子が乱雑に置かれているため、後ろの扉はそれらで塞がっていて開かない、ということは、こいつらの逃げ道は今私の後ろにある前側の扉だけ。しかしその扉は私が今鍵をかけた。


追い詰められてるこの状況、分かってないのかな。