「陽ちゃんなんであの2人連れて来たの」
路地裏の惨状をきゃっきゃ言いながら観察してる佐々木夕と、それに着いていきながらちょこちょこ返答している羽賀愁には聞こえないようにコソッと陽ちゃんに耳打ちをする。
「ついてきた」
「なんですって」
「夕が暇だから律見に行こうとか言い出して」
「私は見世物か」
「そのまま愁を無理やり連れて来た」
「被害者」
「別にお前だし見られても大丈夫だろう、と」
「人間的にはアウト」
「お前のこと人間だと思ってないからいける」
「とんだ風評被害」
こんなとこ見られたらまた『律ちゃんの彼氏怪獣になるんじゃない?』とか訳分からないことを言い出すに決まっているのだ。主にあの童顔が。
銀髪に関しては謎すぎてもう分からない。ただ今日も顔面が不思議なほど綺麗だねと思うだけだ。
「ほらよ」
「もうカピカピになっちゃった」
陽ちゃんからタオルをもらうも、残念ながらこの血はどうにもならない。
「まるで殺人犯」
「上着貸してやるけど…血つけんなよ…」
「はーい」
渋々、ほんとに渋々貸してやるみたいな顔をしてる陽ちゃん。この学校に通う限りは私のお守り役を担ってもらわなければならないので、まぁしょうがない。運命運命。
「律ちゃんてなんでそんなゴリラなの?」
「え、聞き捨てならないが過ぎる」
奥から戻ってきた佐々木夕に、途轍もなく失礼なことを言われて思わず突っ込む。
誰がゴリラだ。女子高生になんてことを。
「だってこの人数殺るって相当強いでしょ?」
「あー…修行…かな?」
「おー…修行…だよな、あれは…」
「なに2人して」
陽ちゃんと顔を見合わせる。
だって本当に修行だもん。それとしか言いようがない。
「昔から道場で鍛えられてた的な…」
「あ、それだ。それが1番近い」
2人で納得。もはや道場で間違いないからな。
ただ、そこで修行する人の年齢層が高かっただけで。
「へぇ、そのせいでゴリラにねぇ」
「聞き捨てならんが過ぎる」
さっきからゴリラ呼ばわりしやがってなんだこいつは。
ピピピピピピッ
「わっ」
「なんの音?」
いきなりけたたましい音が鳴り、思わず驚く。
が、
「誰のだよも〜〜 」
実は音の発生場所は分かってるので、あとは探すのみ。
鞄を開いてガチャガチャと音の犯人を探し、ピッと電源を切る。
「…」
「…」
「…」
「ん?なに?」
シーンとなっていることに気づき、周りを見渡すと、何故か顔が引き攣っている3人。
「なに、じゃねぇ。なんだそれ」
「え、携帯」
「じゃなくて…」
「あぁ、情報収集は大切でしょ?敵が他にもいた場合、認識しておいたほうがいいし?」
「…」
「…」
「こわ…」
聞き捨てならない。
