「あー…唐揚げとっただかなんだかの…」
「いや、それは終わったー。次アイス勝手に食べたらガチギレされた」
どんだけ人の物食べるんだこの人は。
そしてどんだけ自分の食べ物を管理できないんだ長谷川蓮は。
「で、暇だったから律ちゃんのクラスにでも遊びに行こうかと」
追いかけられてる時点で暇ではないと思うんだけど。自由だなこの人。
「最近なんか面白いことしてないのー?」
「面白いことって…」
「え、人ぶん投げるとか」
「してないですよ」
「毎日してるのかと」
「そんなわけないでしょ」
この人も大概失礼なこと言うな。
「彼氏は?」
「できてないですよ」
「告白されてんでしょどうせ」
「あー…まぁ」
実は、机の中に呼び出し内容の紙切れが入ってることも少なくないが、それが告白なのか、はたまたリンチ目的なのかが分からないのでどれも全てスルーしているのだ。
「もう諦めたら?」
「何を言ってるんですか」
青春だぞ。彼氏とるんるん放課後デートとかしたいだろうが。
「だって律ちゃんと合う人って、プロレスラーとかになるんじゃない?」
「…ぶほっ」
今吹き出したのは小田。「合う…っ」とか言いながら笑ってやがる。さっきまで無視しようとしてたくせに。ていうかこいつら2人集まったら相当タチ悪い気がしてきたぞ。性格的に。
ていうかまじでこの人暇潰しのためだけにここに来たのかよ。
そうこうしているうちに、佐々木夕に気づきだしたクラスメイトたち。
「えっ!佐々木さんいるんだけど!」
「まじっ、やだめっちゃ可愛い…!」
「東堂さんと話してんだけど」
「あの噂本当なのかな」
「佐々木さんこっち向いてくんないかな」
「やべぇ、かっこいい…」
さすが天。一気に注目が集中した。まぁこちらとしては大迷惑以外の何者でもないがな。
「あらバレちった」
しかしそんなことは関係ないというように飄々としてる佐々木夕。注目を浴びることは慣れっこなんだろう。
あー、これでまた佐々木夕を誑かしてるだのなんだのマイナスな噂が流れるんだろうな。明らかに訪ねてきているのは佐々木夕からなのに。もう諦めだ。そもそも陽ちゃんと同じ高校に入学した時点で終わってるのだ。しょうがない。
ていうか突っかかってくる奴が悪い。しょうがない。
佐々木夕は天の中でも比較的話しやすいと思う。多分。
まぁだからと言ってホイホイ話しかけれるわけでもないのだが。
しかしその中でも勇者がいた。
「佐々木さん、東堂さんと付き合ってるんですか??」
