狂気のお姫様

「小田殺す」

「いきなり物騒。会って早々に物騒。絶対八つ当たりだろ」

「この世からねり梅を完全に排除する」

「おい私の主食」

「そして小田も抹殺」

「理不尽が過ぎる」


昨日あのあと家に帰ったら陽ちゃんがいたので、羽賀愁とやらが怖かったよ訳分かんなかったよワンワンと泣きついた。

…いや、さすがに今のは盛った。

だが陽ちゃんは素知らぬ顔で『お前なら大丈夫だろ』と言い放ちやがった。

何が大丈夫なんだ言ってみろコノヤロウ、お前の友達どいつもこいつもやばすぎるんだよ、と悪態をついてみるも『お前もな』とのこと。

非常に解せぬ。



「で?」

「あ、うざ。『昨日あったことを洗いざらい話せよ東堂』って顔してる」

「大正解。ねり梅あげるわ」

「いらん殺すまじで殺す」

「いやまじでねり梅に対しての恨みすごくない?」


小田は小田で小田なので、諦めながら昨日のことを話すが、

「やっばー…。まじで帰って良かったわ…」

とのこと。

そして、

「ねり梅………ブククククッ」

と笑う始末。すんごい腹立つ。ねり梅のせいで殺されるかもしれなかったんだぞ。すごい怪訝な顔されたんだぞ。死因がねり梅とか嫌だわそんな人生。


「噂がやばすぎて殺されるかと思ったからなほんと」

「まず姿が見れるだけでも珍しいらしいからな〜」

「伝説のポ〇モンじゃん」

「ねぇやめてもし遭遇したとき絶対笑うから。殺されるから」


小田は一回殺されたほうがいいと思う。

噂だけが一人歩きしている部分はあるんだろうと思うけど…昨日の雰囲気からしてやばいのは確実。できるだけ関わらないのが得策だな…。


「体育館の奴らはどうすんの」

「あ、忘れてたわ」

「ねぇ可哀想」

「顔笑ってるぞ」


よし羽賀愁は置いておこう。考えても分からん。


「あの雑魚たちねぇ」

「雑魚…笑うわ」

「今この時点で仕掛けてきそうなバカは、昨日の体育館の奴らと、教科書事件の2人だな」

「グルじゃないの?」

「最初はそうかなぁと思ったけどな、行動にうつすのが早いから別だろ」

「ふぅん」

「みんな寄ってたかって私を悪者にするのが好きだなぁ」


呆れるよほんと。暇なんだろうな。どうせ頭悪いんだからこんなことに労力を使う暇があったら勉強でもすればいいのに。


「東堂顔はいいしな」

「”は”ってなんだ」

「性格はひん曲がってる」

「お前にだけは言われたくない」

「鹿島杏奈の影響力は凄まじいな。いや、天か」


そうだな。鹿島杏奈だけの噂ならともかく、天にとりいってるっていう噂があれば敵も多くなるだろう。

とりあえず鹿島杏奈にも天にもできるだけ関わらないのが1番。

それが1番なのだ。

しかしそう思っていればいるほど、神様も運も味方になってくれない。