狂気のお姫様


「ねり梅…?」

羽賀愁はそう言いながら怪訝な顔をしてらっしゃる。

そりゃそうなるよな。


「梅好きじゃないわ」

「あ、すみません」


なんとなくだけど小田明日殺そ。

「あんた、そんなんだっけ」

「?」


そんなんだっけって何?

いきなりの質問に訳が分からずハテナ顔でいると、

「もっと陽介と喋ってた」

と無表情で言い捨てる。


「あー…それは幼なじみなんで」

あんたにあんなアホみたいに話ができるわけなかろうが!!!

「先輩ですし」

「できるなら今すぐ立ち去りたいって顔してる」


わ〜お。お見通し〜すご〜い。


「その顔、腹立つな」

「えっ」

「逆に」


なんの逆よ。

ていうか今普通に貶されたけどなんなんだ。

本当に何考えてるのかが分かんない。


「返す」

「あ、どうも…」

無惨にも何十回も振り回された可哀想な双眼鏡が返され、羽賀愁は「くぁ…」と小さく欠伸をした。


話し方は意外にも優しめ。無口なわけでもない。だが、美しすぎるから人間じゃないような感覚に陥るのだ。


「続けなよ、偵察」

「え、この状況で?」


おっと危ない。口に出すところだった。

「出てた」


ねぇ〜〜〜私〜〜〜〜!?!?!?


「汚い」

「えっ」

今すごい私に言われたかと思ったけど、目線はもう体育館の中。

ていうかさっきの私の失言はスルーしてくれたらしい。


「何がですか」

「んー、存在」


恐る恐る聞くと、意外にも普通に答えてくれた。内容ともかく。


「頑張って」

羽賀愁はそう言うと、私を一瞥して行ってしまった。


「…一体なんだったんだ」


今までのバカみたいに悪意を全面に出してくるなら、強い強くない関係なくやり返す気にもなるんだが…。

まぁ私に害がないなら良い…か。