狂気のお姫様

一日の授業を難なくこなし、いつも通りの放課後を迎える。

帰りも組員さんが近くまで迎えに来てくれているため、小田とはバイバイ。


そしてイベントのようにこいつに遭遇したのだ。


「陽介が風邪ひいたって?」

「そうなんですよ、バカのくせに」

「えー、俺、うつってたらやだなぁ」

「鳴さんは風邪ひかないですよ」

「遠回しにバカって言ってない???」


裏門から出ようと校舎を出たらこれだ。

中庭の住人である金髪と、帰り時間がかぶったらしい。


「なんか大変そうだねぇ家」


心配なんて微塵もしてないくせに。

こないだだって、佐々木夕と煽りに来たくせに。


「変わってくれてもいいんですよ」

「からだが何個あっても足りないからやめとく」

「私をなんだと思ってんだ」


鳴さんは愁さんと約束があるらしく、駐輪場のバイクに跨る。修理が終わった愁さんのバイクを取りに行くらしい。なんか、前にも修理がなんだと言っていたな。


「一緒に愁待とうよー」

「いやですけど」

「えーー、俺が暇じゃーーーん」

「ぎゃっ、離れてください」


泣き真似をしながら腰に巻きついてくる金髪の腕をバシバシと叩く。


「いてっ、容赦どこいった容赦」

お前なんぞに容赦するか。


「律ちゃんいい匂いする」

「変態が!!!」

「いてっ、いてて、でも離れ難い」

「気色が悪い!!!」

「知ってる?『きもい』より『気色が悪い』って言われたほうが傷つくんだよ」

だったら離れろ。


「なんだか日々のストレスがすべて浄化されていく……なんか柔らかいし……」

「ヒィッ!!!離せぇぇ!!」


さすが男……いや、天といったところか、微塵も離れる気がない金髪の腕をこれでもかというほど叩くが、本当にビクともしない。

そんなこんなしているうちに、

「は?何してんの」

銀髪もご来光し、


「しゅ、愁さん!この変態どけてください!!」

「マイナスイオンってやっぱり存在したんだな……スンスン」

「におうな変態が!!!!」


すんごい微妙な顔で哀れまれているのは、何故なんだろうか。


「離れろ鳴」

「いって!」

そんな顔をしつつも、鳴さんに一蹴り入れて助けてくれる愁さん、一生推す。


「私の貞操が……」


ささっと愁さんの後ろに隠れる。


「みんな俺にひどくない?」

「自業自得だろ」

「そーだそーだ」


愁さんの後ろからひょこっと顔を出す。

蹴られたついでに倒れかけたバイクを起こし、ぷんすこ文句を言っているクソ男を睨むが、微塵も悪いと思っていないなコイツ。


「……?」

ふと、上から視線を感じ、ひょっこり状態で愁さんの顔に視線をうつす。


相変わらずの真顔で、何を考えているのか分からないが、

「………なんで私撫でられてるんですか」

「そこに頭があったから?」

「……」


くそ、顔が良い……。

なんで揃いも揃ってこいつらはスキンシップが激しいんだ!!!