狂気のお姫様

陽ちゃんと登下校をするようになって一週間ほどたったある日。


「バカは風邪ひかないっていうのはやっぱり迷信だったんだ……」

「おい……ゴホッ」


陽ちゃんがダウンした。

幸いにもただの風邪みたいなので、数日安静にしておけば大丈夫らしいが。


「絶対にうつりたくないから近寄んないでね」

「え、俺の心配は?」

「じゃ、行ってくるから」

「えっ、俺の心配は…?」


私の足……ではなく、送り迎えをしてくれていた陽ちゃんがダウンしてしまったため、数日は組員さんが学校の近くまで送ってくれることになった。

正門まで送られでもいいんだが、なんせみんな、見た目が……ね。


「律ちゃーん、行くぞー」

「はーい」


マスクと冷えピタで、いかにも病人そうな陽ちゃんをしっしっと追い払うと、鼻水をズビズビいわせながら部屋に戻って行った。

ていうか、あの状態でも登校しようとしてたことがバカだけどな。皆勤賞でも狙ってんのかよ。

いや、授業をサボってる時点で皆勤賞なんてもらえないか。ていうかこの学校に皆勤賞制度なんてないだろうな。



「ここら辺で大丈夫か?」

「あ、うん、ありがとうございましたぁ」


一応黒塗りの車だけはやめてくれ、とジローさんに言ってみたが、ごく普通の普通車だった。

そんな見るからに怪しい車で送り迎えするわけないだろ、とのことだったので、やはり小田はドラマの見すぎだと思う。

送ってもらうのは学校の近くまでなので、そこから学校までは歩かねばならないが、ここまで来ると、生徒がチラホラいるため、危険ではないだろう。


「あれ、東堂」

「おー、小田」

見知った後ろ姿だと思ったら、やはり小田。


「今日は如月さんの送りじゃないのか?」

「風邪ひいてダウンしてる」

「へー、天でも風邪ひくんだ」

「一応あの人、人間なんだよ」

「シラナカッタ」

「ちなみに私もさっき会ったとき、バカでも風邪ひくんだって言った」

「いや私バカとは言ってないからな」


そういえば、最近陽ちゃんのファンが増えたと言ってたな。

陽ちゃんファンよ、あの男を見ることは、数日ないだろう。残念だったな。


「バカとは言ってないからからな???」


しつこい。